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直す、使う


 4月15日から始まる教室のため、ワクワクしながら準備を進めています。

 道具箱を作ったり、ヘラを削ったり、受講生みなさんの使う道具を作るのは、普段の漆の器を作る時と同じ気持ちです。

どちらも手の延長にある道具なので、使いやすさや、使い心地を考えることに変わりはありません。

 いつになくワクワクしているのは、教室の場の空気が楽しくイメージできるからでしょうか。

 準備をしながら、これからを考えています。

 金継ぎの技法によって修復された器は、傷が見えないように元通りになるわけではありません。

 愛着を持って使われた器が、時間をかけて直され、人の手がさらに加えられることで、器との距離が近くなります。その結果以前に増して愛着がわく気がします。

 これは上手いとか下手とか関係なくそう思います。

 金継ぎの技法を学ぶ上で大切なのは、

 「直して使い続けたい器が生活の中にある。」ということではないかと思います。

仮に僕がその器の作り手であるならば、作り手としてとてもうれしいことだと感じます。

 現在世の中に金継ぎ教室が増え、金継ぎという言葉を耳にする機会が多いのは、直して使い続けたい器が生活の中にある方が多くなったということなのでしょう。作り手と使い手の距離が近くなり、簡単に捨てられないものになったのかもしれません。

だとすると、金継ぎの技法はただの直すという技術ではなく、生活を作るすべの一部なのだと感じます。

 壊れたものは直ります。むしろもっと愛着がわく器になるでしょう。


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